​「人生の美しい物」を守るために

​同志、支援者を募ります

​当サイトでは、美術工芸からクラフトワークまで、手仕事の分野を幅広くカバーし、その担い手をはじめ、工芸を普及する人や日常で愛でる人に取材して「モノ語り」を紡いでいきます。どんなに文明が進化しようとも、AIがたいていのことを解決してしまう世の中になろうとも、人間が生きていく上で失ってはいけない感性があることを再確認し、その存続を強固にするためです。

同時に賛同者を広く募り、ネット内だけでなく、現実生活でつながり合い、このサイトから工芸復活のムーブメントを起こすことを夢見ています。端的に言って、かつて工芸サロンが結束することは考えられませんでした。作家と職人が協力し合うことも、また、作り手と使い手が深く関わり合うことも稀でした。僭越ながら、これからは必要なことだと思うのです。つまり、失ってはいけない感性のために。

​そんなわけで、当サイトは「ウェブマガジン」ではなく「コミュニティサイト」と定義付けしました。この趣旨にご賛同くださり、手仕事の未来を一緒に考えてくださる方、広告等で当サイトの運営を支えてくださる方を募集します。よろしくお願い申し上げます。


●2018年3月 由良直也(フリー編集者・ライター)

​同志のみなさん(2020年12月現在)

みかわ是山居

シーボーン昭徳

瑞玉ギャラリー

​ギャラリー山咲木

​好文居主人

​それぞれのプロフィールを紹介しています。寄稿もあります。
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工芸は今、くすんだ世界に閉じ込められている

 

私が日本の美術工芸、ないしは伝統工芸に興味を抱き、作家のやきものを少しずつ買い集め始めたのは1980年代の半ば。当時はまだまだ世間の工芸に対する関心は高く、今はなき月刊『太陽』や『銀花』では陶磁器や漆器の魅力的な特集がたびたび組まれていた。女性誌でも「やきものの里へ」といった旅記事が頻繁に掲載され、和食器のムックやビジュアル文庫が書店に多数並んだ。

しかもバブル期だった。今では信じられない話だろうが、都内で開催された人気作家の個展では、百貨店や工芸サロンの店頭に長蛇の列ができたのである。開店から10分も遅刻しようものなら、数多の目利きが狩猟を終えたあと。すでに売約済みとなった傑作、逸品を前にして臍を噛むことになる。そんな活況がバブル崩壊後もしばらく続いた。

それが溶暗したのは95年頃。いろいろ要因は考えられるが、バブル後も同じ価格で売り続けられたことが大きく影響したと私は思う(陶芸家の価格は表向き下げられないというのが工芸界の暗黙の了解。今はネットオークションがその不文律を完全に破壊しているが……)。長引く不況の中、さすがのやきもの好きも購買意欲が下降していく。おりしも世の中はIT時代を迎えつつあった。

さて現在。工芸はくすんだ世界に閉じ込められている。工芸そのものがくすんだのではない。この世自体がくすんでいるのである。人間の業績やモノの価値を数字でしか測定しない種族が跳梁跋扈し、非効率であるがゆえの美を愛でる感性が日々削られていく。稀に情を示す人がいても、すぐさま現実論を持ち出して切り捨てるのだ。「1万円もする湯呑は普段の生活で使えないでしょう?」と。そもそもの人生観が違うのである。

この種の断絶は昔もおそらくあった。岡倉天心の『茶の本』に以下のくだりがある。

今日の美術は真にわれわれに属するものである、それはわれわれみずからの反映である。これを罵倒する時は、ただ自己を罵倒するのである。今の世に美術無し、というが、これが責めを負うべき者はたれぞ。

世に認められようとして苦しむ美術家たち、冷たき軽侮の影に逡巡している疲れた人々よ! などというが、この自己本位の世の中に、われわれは彼らに対してどれほどの鼓舞激励を与えているか。過去がわれらの文化の貧弱を哀れむのも道理である。未来はわが美術の貧弱を笑うだろう。われわれは人生の美しい物を破壊することによって美術を破壊している。

当サイトはすなわち、美しいものを生み出す工芸家たちへ、鼓舞激励を与え,「人生の美しい物」を破壊から守るために立ち上げた。恥ずかしながら、その具体的な手段はこれを運営していきながら固めていきたい。形を決める前にとにかく声を上げ、行動を起こさないといけないと思ったのだ。

 

旧知の陶芸家、坂本素行さんにこの話をしたら、「何をしたいのかよくわからないが、いずれにせよイノチガケでやらないといけないね」と言われた。そのままサイト名とした。

​坂本素行 作 象嵌珈琲碗
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