●これまでに紹介した「シーボーン昭徳​」の逸品(1)

シーボーン昭徳の買い付け担当西木孝明さんに、今年一年の漁獲状況を振り返ってもらったところ、九州近海で比較的よかったのは、ブリとワラサだけ――つまり、ブリの成魚と幼魚だけだ。あとはサワラの水揚げが久しぶりに復活した程度(といっても、それも昨年の暮れ)で、感触がよかった魚が思い当たらない。サバは秋になってもまったく揚がらず、アジに関しては夏まではまあまあよかったが、それ以後は激減し、全国の回転寿司店が困るほど獲れない状況が続いているという。数年前から不漁が続いているイカも上向く気配はない。つまり、このギフトセットは、今年はとくに貴重品なのだ。

やはり話が帰結するのは地球温暖化の問題。10月のこの欄でも地球温暖化に対して奥の手を話したばかりだ……と思っていたら、NHKの朝のニュースで、まさにここで言った鉄分散布による「海の森林化」、つまり藻場の育成による二酸化炭素吸収の話題に触れていた。その二酸化炭素を「ブルーカーボン」というらしい。私が11年前に鉄分が海に与える影響を知ったときにはそんな言葉はなかったが、今では重要なキーワードらしく、12月2日からマドリードで開催されるCOP25では中心的な議題になるのだという。

10月には書かなかったが、以前、アメリカでこの分野の研究者が鉄粉散布の実験をしようとしたら、某自然保護団体から猛反対されて断念したと、気仙沼の養殖業家にしてエッセイストの畠山重篤さんから聞いた。「人間の手で生態系に影響をもたらしていいのか?」というのがその反対趣旨で、そりゃ確かにその通りだが、人間が生態系に影響をもたらしたおかげで地球が温暖化したのではないのか。今回のCOP25でブルーカーボン計画が提言されても、その世界的自然保護団体が邪魔をする可能性がある。

とにもかくにも私は、個人的に快哉を叫びたい気分だ。おそらく、畠山重篤さんはもっとそうだろう。あるいは「ようやくか」と呆れているかもしれない。私が畠山さんに取材した原稿は、ある生協のカタログの一面に掲載されたが、何一つ反響がなかったし、それ以後11年間、会う人ごとにこの話をしても眉唾のように扱われたからだ。ざまーみろ!(2019年12月)

お歳暮にはシーボーン昭徳のとびきりうまい魚を贈ってほしいと切に思うのだが、どうも一般家庭ではまだまだ、冷凍の魚の扱いに慣れていない気がする。干物セットなどを親戚や知人に贈っても、最後までおいしく食べてくれたかどうか、いつも心配になってしまうのだ。
 
まず、冷凍ならしばらく放っておいても大丈夫だと思われ、発砲スチロールの梱包から出さずにそのまま常温に置かれるということがよくあるが、これはかなり残念な話である。少しでも解凍が進んでしまったら、それはもう冷凍庫に入れず、そのまま焼いて食たべたほうがいいかもしれない。というのも、解凍とともにどうしてもドリップが出るし、それが身にまとわりついたまま再凍結されると、当然ながら風味が落ちるからだ。また、何度も凍結と解凍を繰り返すと、その都度うまみが逃げ、食感も損ねる。温度変化の回数は少ないにこしたことはない。

とにかく冷凍で届いたら、梱包を解いてすぐに冷凍庫に入れること。そして食べる分だけ冷蔵に移して解凍するのが正解だ。急激な温度変化は身の細胞を破壊するので、じっくりと時間をかけて解凍するのである。干物のメーカーの中には、冷凍のまま焼くことを推奨しているところもあるが、それはシシャモや小イワシなど、火の通りがよい魚に限った話だと思う。サバやアジ以上のサイズの魚になると、冷凍したままではムラ焼けする可能性があるので、あまりおすすめできない。

このセットには干物だけでなく、シーボーン自慢のしめさばも入っているが、それこそ温度変化に要注意だ。以前も書いたが、締め加減が浅めで、まるで刺身のようなプリッとした身である。だから、常温状態が長く続いたら、台無しもいいところだ。身に繊細な具合に入り込んだ脂も、たちまち溶け出してしまうだろう。だから、梱包を解いたら一も二もなく冷凍室に入れてほしい。もはやこれはこのしめさばの味にとって死活問題といっていい。そして、干物同様、食べる前に冷凍室から冷蔵室に移し、ゆっくりと解凍させる。

以上のような口上を、お歳暮を贈る相手には伝えたいのだが、考えてみれば面倒な話ではある。こちらから電話して取り扱いを説明するのはどうしようもなく野暮だ。だから、贈り先からの電話をじっと待つ。「おいしそうなお魚をありがとうございます」「あ、届きましたか? いえねえ、面倒な話なんですけどね……」という具合に伝えるしかないのだ。(2019年11月)

これからの季節、九州のマサバは絶品だ。もちろん個体差はあるが、金華サバなどの三陸産などに比べると、総じて脂が上品でしつこさがない。しかも、その脂にほのかな甘みがある。それに加えて、シーボーン昭徳が厳選するマサバは、身に弾力があり、うまみが濃い。ことに、みりん醤油漬けのマサバは、焼き上げたときのメイラード反応によって格別な風味である。

しかしながら、九州近海のマサバ漁は、ここは数年苦戦続きだ。日韓漁業協定で双方の要望がかみ合わず、漁場が限られていることも大きいが、何しろ問題は海水温である。主たる漁業は済州島の南東から五島西沖で、この海域の水温がぐっと下がってくれれば、マサバの群れを呼び込むことになる。しかし、近年はその季節感にメリハリがない。

先日、国連でスウェーデンの16歳の環境活動家グレタ・トゥンベリ女史が怒りのスピーチをしたが、それでも地球環境は髪の毛一本ほどもよい方向には動かないだろう。世界は今、自国優先の陋劣なリーダーばかりだし、さも環境保護を訴えているように見える企業や団体も、目先の利益を追っているにすぎないことは明白だ。

一つ奥の手がある。海に鉄粉を撒くのである。これは気仙沼のカキ養殖業家にしてエッセイストの畠山重篤氏から直接聞いた話だ。森林と海が深い関係を持つのは、腐葉土の中で生成される鉄イオンが川や地下水ととも海へ流れ込み、それが植物プランクトンを発生しやすくするからだが、今は落葉樹が少なく、植樹で森林を育成するにも時間がかかる。だから、鉄粉を撒くのが早いというのである。論より証拠、日本製鉄(旧新日鉄住金)のサイトを見てほしい。

植物プランクトンが大量発生することにより、沿岸には海藻が生い茂る。おそらく太古は、陸に落葉樹の森林が生い茂り、海には海藻の濃密な森が存在していたのだろう。ここで重要なのは、海藻も光合成を行うのでCO2を吸収することだ。しかも地球温暖化に歯止めをかけるには、プール1個分の海水に対し、スプーン1杯分の鉄粉で充分なのだという。25mプールなのか50mプールなのかはわからないが、どちらにしても最終手段としては、それほどハードルは高くないような気がするではないか。(2019年10月)

 

サンマは今年もまた芳しくない漁模様のようだが、秋と言えば、西日本はサンマではなくカマスである。サンマほど脂はのっていないし、どちらかというと水っぽい身と言われるが、それゆえカマスほど干物に向いた魚はない。

最近、寿司店でカマスの握りがあったのでびっくりして食べてみたが、気の抜けたサヨリというか何というか、案の定なんの味わいもなかった。そもそも魚はナマが一番うまいというのは迷信だ。水分を抜いたほうが風味よく、本来のうまみが現れるのは、ここであらためて言う必要はない。

シーボーン昭徳が例年買い付けているのは、五島、平戸、佐世保あたりで水揚げされた定置網のアカカマス。魚群がまとまりにくく、巻き網では滅多に漁獲されない。カマスには大まかに言ってアカカマスとミズカマスがあるが、アカカマスのほうに高値が付く。うまみが濃く、干物にしたときの風味が、ミズカマスとまるで違うのである。

九州の代表的な秋の味覚とはいえ、最近はサンマ同様、海水温の影響を受けている。ここ数年は、10月くらいからようやく水揚げがまとまる傾向にあって、年明けまで漁獲されることも普通である。シーボーン昭徳の西木さんいわく、カマスは急激に太る魚らしい。ややカタが小さいと思っていたら、翌週には立派なサイズに育っているという。小魚を丸のみするほど食欲旺盛な魚だからである。(2019年9月)

IWCで商業捕鯨禁止の動きが活発化したのは1980年代前半だ。日本の捕鯨の存続が危ぶまれたその時期、浅薄な週刊誌やテレビ番組では「守るべき日本の食文化」というフレーズが跳梁跋扈して、いささかうんざりさせられた。だって、誰もクジラなんか日常的に食べていないじゃん? そんなに守りたいなら、せめて7日に一度は食えというのだ。

ウナギも“瀕死”の状態になってから、盛んに文化、文化という人たちがいるが、そんなに守りたい日本の食文化なら、土用の丑の日なんかどうでもいいから、しばしシラスウナギを禁漁にすべきではないのか。要するに「守るべき食文化」というフレーズには、金と偽善の匂いがするから困ってしまう。

話をクジラに戻すと、85年頃、砲手に取材したドキュメンタリーの制作者に会う機会があったが、その人はこう言っていた。「クジラは文化じゃない。生活そのものだ」――つまり、捕鯨で暮らしてきた人たちの「生活」を目の当たりにすると、「文化」という言葉はむしろ軽いということである。イベント好きで移り気な消費者にとっては、消滅しそうなものはどれも「文化」なのかもしれないが。

さて、「日本の魚食文化」は存続が危ぶまれ続けている。それはとりもなおさず、「文化」と言われるようになってしまったからである。毎日食べているもの、例えば豚肉をして「日本の豚肉文化」と崇めている人は見たことがないし、「日本の鶏肉文化」という言葉も、「日本の冷凍食品文化」という言葉も聞いたことがない。

その一方でアジの開きは、もはや「守るべき食文化」になってしまっている。しかし、繰り返すが「文化」はたまに愛でられるイベントだ。これを「生活」に引き戻すと、魚食は本来の重みを取り戻すというわけである。例えば昔のように、アジの開きは朝飯で食べるのが、まさに「生活」だ……。ね? 重み、増すでしょう?(2019年8月)

そもそも自然相手だから当然なのか、それともやっぱり海がおかしくなっているのか、シーボーン昭徳の目利き、西木孝明さんは、今年のマアジほど振り回された魚はなかったと振り返る。右に書いているように同社では、シーズン初めから買うべき魚の漁場を絞り込んでいき、その漁場の中で身の質が最高潮になるタイミングを見極める。情報をくまなく集め、ターゲットの魚を毎日食べ続けているから、よほどの不漁の年でないかぎり、「旬の中の旬」を外すことはないのだ。

 

それが今年は違った。同じ漁場でもカタや身の質が日ごとにころころ変わり、まるっきり予想が立たなかったのである。加えて、今年の九州近海のマアジは、漁獲量も今一つだった。やがて手広く構える以上に最良の手はなくなっていった。

 

結果として、西木さんが出向いた長崎県松浦港の魚市場で、その日揚がったマアジを買い付けることになった。市場で目にする瞬間まで、ほとんどケアしていなかった漁場の魚だった。カタも脂ののりも上々だったが、例年より高値だったので、「20~30分、うーむと思案してから買い付けた」と西木さんは苦笑する。それが5月31日。その1週間後には、再び買うべき魚のレベルではなくなった。まったくの綱渡りだった。

 

ほとんどケアしていなかった漁場の魚――これは、十全な買い付けのメソッドをもつシーボーン昭徳にとっては、少なからず衝撃的な事件だった。もっとも、ハナから行き当たりばったりの買い付け方をしていては、こういう運にも恵まれない。狙いがあるからこそ、それが外れたときにも、柔軟かつ的確な判断ができるというものだ。

 

アジは大衆魚だし、ましてナマではなく干物なら、どこでどう獲られようが味に大差ないと思っている人もいるかもしれないが、そういう人にはシーボーン昭徳のこだわりは到底理解できないだろう。どうか回転寿司で炙りサーモンでも食べていてください。(2019年7月)

私事だが、20代半ばまでタイの味がまるでわからなかった。多分にそれは、ろくなタイに当たったことがなかったからだと思う。あるとき、愛媛・松山で鯛素麺を食べて、姿煮のタイの甘さに驚いた。極めて大衆的な店だったので、もしかすると養殖物だったかもしれないが、いずれにしてもタイは、やはり西の魚なのだと思った。

この天日干しは玄界灘のマダイ。シーボーン昭徳にとっては目の前の海だが、唐津にはほとんど水揚げされず、高値が付く福岡直へ直行してしまうので、仕方がなく同社も福岡で買い付けに行く。タイの漁場は、比較的沿岸に近いところなので「ごち網」という、巻き網より小規模な漁法で獲るのが一般的だ。漁獲後の処理にもよるが、魚は陸から近く、コンパクトな漁法ほど鮮度がよい。

本品にはおすすめの焼き方がある。フライパンを使って蒸し焼きにするのだ。酒と水を入れてフライパンに蓋をするのだが、昆布を入れても面白いとシーボーン昭徳の西木孝明さんは言う。タイは焼き方によって身がかたくなることもあるが、これならふっくらと焼き上がる。

そのほか炊飯器に入れて鯛めしに仕立てるのもよいが、「ごはんと一緒に味わうなら、お茶漬けがうまいかもしれない」と西木さん。「実際にこの天日干しで試したことはないんですけどね、少し皮目に焦げ目が付くくらいに焼いて身をほぐす。それをごはんにのせてダシ汁をかける……あれ? 自分で言っているうちに食べたくなってきました。今晩試します」

ちなみに単品より、マダイの天日干しが入った「昭徳 玄人目利き天日干し詰合せセット」を注文するほうが、送料無料(北海道と沖縄県を除く)の分、得かもしれない。この時期はもちろんお中元におすすめである。(2019年6月)

世界広しといえど日本ほどイカを食べる国はない。日本人の魚介消費量のトップは、サケでもなく、マグロでもなく、イカなのである。ああ、それなのに、ここ数年来の世紀の大不漁について、人々の口の端に上ったのを見たことがない。マグロやサンマ、シラスウナギが獲れないと大騒ぎするくせに、これではイカがあまりにかわいそうではないか。糟糠の妻がなんの書き置きも残さず突然失踪したのに、のんびり構えている亭主のようだ。

「イカは一年魚なのになあ。おかしいですよ」とシーボーン昭徳の西木孝明係長は、この大不漁の現象に首を傾げる。一年魚ということはつまり、一度のハプニングではなく、毎年、毎年、産卵時期のイカ、あるいは卵や稚魚に対して、何らかの殺人的ストレスがかけられていることになる。もし海水温の上昇が原因であれば、アメリカ共和党や中国共産党が消滅しない限り、イカは永久に品不足だ。西木さんは「鯨かもしれないですね」と言うが、もしそうだとしても、IWCが存続する限り、やはり絶望的である。

そうした中で、このケンサキイカの場合、不漁は不漁でも、そもそもスルメイカに比べて大量に獲れていたわけではないので、市場の動揺は比較的大きくないという。しかもスルメイカより間違いなく、甘いくてうまい。中でも呼子(市町村合併で現在は唐津市内)のケンサキイカは全国的に有名だが、それは活き造り専用。さすがに宅急便では送れないので、シーボーン昭徳が用意したこのケンサキイカは冷凍の加熱用である。「煮物だったら皮をむく必要がないし、ワタごと煮てもおいしいですよ」と西木さん。「卵が入っていたらラッキー! という感じですね」。イタリアンの素材としても申し分ないだろう。

……という原稿を書き上げて、ギフト担当の長谷川志保さんから写真が届くのを待っていたら、届いたメールに以下の一筆が添えられていた。「こちら、あと1点になりましたが、よろしいでしょうか?」――なんと、日本人はやっぱりイカが大好きなのだった。(2019年5月)

12~13年前、八戸の近海でサワラが揚がって、ちょっとした騒ぎになった。魚の分布図が混乱気味の今ではたいした話ではないが、かつてサワラは北の海では獲れない魚だった。逆に言えば、九州近海では水揚げ量が減っている。現在は北陸沖が主漁場になっていると聞く。消費者はどこでも獲れればいいじゃないかと思うだろうが、それは魚を知らない人の論理だ。北陸のある漁協職員は、「サワラが揚がっても地元では食べる習慣がないし、どう食べたらおいしいかわからない」と言っていた。

そもそも見慣れない魚が揚がっても陸で目利きができない。かつサワラは目利きがやや難しい魚だ。扱いがよくわからないと、漁獲後の鮮度も維持できない。サワラが苦手という人が結構いるのは、身質や鮮度の微妙な違いで臭みが出るからだ。だから、サワラはサワラの目利きがいる土地で獲れてほしい。シーボーン昭徳の西木孝明さんはこう語る。「わかりやすいのは身の色ですね。灰色がかったサワラはダメ。それは水っぽい証拠です。クセがあって脂ののりも悪い。きめの細かい脂がのっていると身は白く見えるんです」

今季、九州近海では久しぶりにサワラの水揚げ量が回復。例年1~3月の漁獲期が今季は年末に前倒しになった。やはり海の環境が変化しているためかもしれないが、何はともあれ、シーボーン昭徳のサワラ商品のファンにとっては朗報である。平均サイズは1kg前後。出世魚の言い方では、成魚(つまりサワラ)とは言えないが、サゴシとしては大きめだ。

成魚に比べてサゴシは身が締まり過ぎず、干物に仕立てるとしっとりとした食感を楽しめる。そのサゴシの中でも、今季は大きめサイズなので脂ののりがよく、干物原料としては極めて絶妙なサイズだ。肉厚で、かつ天日干しと思えないほどのやわらかさ。シンプルに焼くだけでなく、ムニエルやフライで食べても思いのほか美味である。(2019年4月)

氷見の寒ブリがあまりにも有名なので、北日本の魚のイメージが強いブリだが、実際、旬のブリは冬から初春にかけて南下する魚群である。対馬沖や五島沖といった九州近海は、全国屈指のブリの好漁場。サバやサワラは海水温の影響などで不漁傾向が続いている九州近海だが、幸いブリは、この数年水揚げ量が安定している。

 

長崎では5月くらいまで水揚げがあるが、さすがに3月に入ると身がやせて、脂もどんどん落ちていく。本当に寒ブリといえるのは2月くらいまでだ。

シーボーン昭徳のこのブリは12~2月のもの。正真正銘の寒ブリで、しかも10kgクラスの大型である。体長は1m前後あり、出世魚の曖昧な区分で表現しても、ブリとしか言いようがないサイズだ。身に弾力があり、間違いなく脂がのっている。

シーボーン昭徳では、魚市場でセリ落とした活ブリをマイナス60℃で保存。一般的にはマグロにしか使わない超低温の冷凍庫を、ブリでもサバでも使うのである。同社では、自らの目利きで一級品と認定した魚を「玄ぶり」や「玄さば」(玄は玄人の玄)と呼んでいるが、その貴重な味、香り、食感をできるだけ保持したまま食卓へ提供したいので、他社が驚くようなところでコストをかけるのだ。

魚自体のレベルの高さのほか、このセットがおすすめの理由は、塩焼き、煮付け、みりん醤油漬け、白味噌漬けと、寒ブリの味を4種楽しめる点だ。背身、腹身、カマと部位が混ざるので、6~7種の味が楽しめるといったほうが正確かもしれない。言うまでもなく、背身は肉のうまみが豊かで、腹身やカマは脂がのっている。その脂もサラッとしてキレのよいところが、養殖ブリ(つまりハマチ)とは一線を画すところだろう。(2019年3月)

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​坂本素行 作 象嵌珈琲碗
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